新しい一歩を踏み出す時、心臓の音が口から飛び出しそうになるのは、本人だけではありません。 親である私も、この日は朝から落ち着かない時間を過ごしていました。
鬼コーチか、仏コーチか?緊張の初対面
いつもより早めにグラウンドに到着した私たち。 さすがの小坊主くんも、珍しく顔がこわばっています(笑)。
でも、見慣れたYコーチと、その息子さんのM君の姿を見つけると、少しだけ表情が和らぎました。知っている顔がいる。それだけで、アウェイの地が少しだけホームに近づきます。
そこへ、チームのメイン指導者であるMコーチが登場しました。 私の勝手なイメージでは「強豪チームのコーチ=厳しくて怖い」だったのですが……
「こんにちは!今日はよろしくね!」
現れたのは、驚くほどにこやかでハキハキとしたコーチ。

(あぁ、よかった……怖くない……!)
小坊主くんより先に、私の肩の力が抜けたのは言うまでもありません(笑)
「難しい!けど、楽しい!」
練習が始まると、空気は一変。 まずはドリブル練習からスタートしましたが、小坊主くんには見たこともない動き、聞いたこともないサッカー用語が飛び交います。(もちろん私も)
周りの子たちに食らいつこうと、見よう見まねで必死に動く小坊主くん。 その横で、コーチがマンツーマンのように寄り添い、丁寧に一つひとつの動きを教えてくれている姿を見て、また一つ私の不安が消えていきました。
給水タイム。 ゼーゼーと肩で息をしながら戻ってきた息子に、私は内心ドキドキしながら声をかけました。

……大丈夫?きつくない?

難しい!!!……けど、楽しい!!!
弱音を吐くかな?という私の予想は、見事に裏切られます。
キラキラした目でそう言い切った息子を見て、驚きと同時に子供の適応能力はすごいなと圧倒されてしまいました。
母の不安と、息子の「あっけらかん」
練習の後半は、2チームに分かれての試合形式が始まります。
リフティングの最高記録、たったの5回(笑)。
戦術もルールもまだあやふやな小坊主くんですが、とにかくボールに向かって無我夢中で走ります。
コーチはその様子をしっかり見てくれていて、その都度ゲームを止めては
「今はこう動くんだよ」と詳しく説明してくれました。
その手厚い指導に、母、またしても感動(泣)
でも、ふと周りを見渡せば、年下の子さえ小坊主くんより遥かに上手い現実があります。
「こんなに差を見せつけられて、自信を失わないかな……」
「今まで通り、楽しく笑ってサッカーしてた方が幸せだったんじゃ……」
不安のループに陥る私。
しかし、練習後の小坊主くんの第一声が、そんな迷いを吹き飛ばしました。

Bチームと全然違った~!家でも練習せないかん!でも、ゲームで1点決めたよ!
……つ…強い。(笑)
親の心配をよそに、彼はもう「次」を見ていました。
私は思わず、あっけらかんとして笑いが出てしまいました。
まさかの「練習試合」への招待状
さらに驚きは続きます。
体験後「日曜日、トレーニングマッチ(対外試合)があるから、ぜひ参加してみて!」
とMコーチからのお誘いが。
年に1回試合があるかないかだったBチーム育ちの私たち。

え!?まだ入部もしてないのにいいんですか!?
とパニックです(笑)。
小坊主くんに伝えると、

え!いいと!?行きたい!
ともちろん二つ返事(笑)
体験初日にして、いきなり実戦デビューが決定。
1ヶ月の体験期間、これは想像以上に濃い時間になりそうです……!
結局、一番ビビっていたのは私だけだったのかもしれません。
レベルに圧倒され、勝手に「可哀想かも」なんてブレーキをかけていた私をよそに、小坊主くんは新しい世界の扉を自らの手でこじ開けていました。
「難しい!けど、楽しい!」
この言葉を信じて、1ヶ月間、彼がどこまで変わるのか見守ってみよう。 そう決めた矢先、舞い込んできた「日曜日の試合」という名の挑戦状。
リフティング最高5回の小坊主くん、いきなりの実戦デビュー。 一体、どんなドラマが待っているのでしょうか……。
(次回、エピソード⑧「え、もう試合?!未経験パニックの実戦デビュー」へ続く)

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